迷子の大人惑星ノート

西洋占星術(ホロスコープ占星術)のチャートから時折顔を上げ、 実際の宇宙や天文を楽しむ準星空案内人。惑星ファンといっても物理が苦手な中年宙女(そらじょ)の 考察ノート。

ホロスコープを前に煮詰まった時

細い月が見かけ上、木星の近くを通っていったのは25日でした。
地震等の天災が続く日々の中で占星術について述べるのは如何なものかと思い悩む日もあります。それでも銀河系の太陽系の地球上に生まれた一員として、星の一部として、
ホロスコープという視点でそれぞれの可能性を見つめて人生をあきらめないという姿勢をもつことは悪いことではないと信じています。

西洋占星術では地球を中心に置いて、その周りを太陽の見かけの通り道である黄道で円を描くように囲み、その円を中心の地球からピザを切るように12ハウスに分けて、10惑星がどこに位置しているかをみていきます。12星座はその円を12に分けつつ黄道の背景となっています。

人が生まれた瞬間に10惑星が地球からみてどこに位置するか。そのデータを基に作成するのがホロスコープ。ネータル・チャート、あるいはバース・チャートともいわれるもので、西洋占星術鑑定前に生年月日、出身地、出身時間を聞かれるのはそのチャートを作成する為です(占星術では天文学上惑星ではない太陽、月、冥王星を惑星とよんでいます)。

太陽は輝き、ホロスコープ上でも人生の存在意義を放つ重要な惑星であることはいうまでもなく、月は生活の中で波のように気分や感情に変化をもたらす生活密着型の惑星であり、水星はコミュニケーション力やフットワーク、知性等、金星は愛情や価値観、お金等、火星は情熱やエネルギー、攻撃力等を表わすといわれています。

この太陽、月、水星、金星、火星は個人的なことを表すパーソナルな惑星であり、ホロスコープを説明する時に表現上象意を伝えやすい惑星たちです。具体的な例をあげて絞っていきやすいのです。ところが細かいことに捉われすぎると、ホロスコープに込められている可能性を広げていくしなやかな視点を忘れてしまうことになります。

それに比べて木星土星となると何だか別もの感が強くて、幸運期や鍛練の期間等というような説明に終始してしまいがちですが、木星土星は生まれたその時代の個人に埋め込まれる共通の社会的な認識や記憶のようなものを表せる惑星ともいわれます。

生まれた瞬間の木星土星はどこにあるでしょうか。どんな時代だったでしょうか。人類が月への一歩を踏み出した時?携帯電話が普及し始めた時?バブルで日本中が湧きかえっていた時?そしてその現象は自分のホロスコープのどのハウスに反映されているでしょうか。

細かいことにこだわり過ぎてホロスコープを前に煮詰まったとき、
半径数メートルの個人的な場所にいる自分ではなく、その時の日本の、世界の、広い次元の中にいる自分へと、視点を大きく切り替えさせてくれる惑星、木星土星の魅力に改めて気づかされ、ホロスコープの前で居住まいを正すことになるのでした。